「デッキが繋がってるんだ!」、「デザインがいいね!」、「こ洒落てるね!」。道行く人の感想が耳に飛び込み、口元がほころぶ。
2004年埼玉県景観賞「心に潤い特別賞」を受賞して16年、新型コロナウイルス禍の中、自宅待機や在宅勤務、テレワークの影響か、車を降りて散歩するカップルや家族連れが増えたせいか、「街と一つ一つの建物の在り方」を提案し続けた反応が重たい空気を吹き飛ばしてくれる。
長かった梅雨が明けて暑さが厳しい今日この頃、天候に恵まれた春先からトサミズキ、ミモザ、モッコウバラと表情は異なるが、黄色の花が零れ落ちるように建物やデッキ、道行く人々を覆う。
隣地に植えさせてもらっている枝垂桜も、今年は季節外れの雨と雪で、満開が短かった気がするが、毎年満開の時は道行く人々が立ち止まり、記念写真に納める。
冬の寒さに耐え、陽光を浴び、蕾から手を広げて伸びようとする真新しい黄緑色の小さな可憐な葉が、夏を迎えて色濃く堂々とした姿に変貌し、緑陰を作り、バス待つ人や道行く人の包み込み「一休み処」にもなる。
「歩く楽しさのある街並み」は、人と建物と緑の関係からも生まれる。